イベントが行われたMeilenwerk Berlin
ウェブ/クラウド化
思ったより(というよりこちらが遅れているだけか)ずっと進んでいます。用途は様々で遠隔地でのデザインレビュー(VWといたるデザインの事例が紹 介されていました)オンラインコンフィギュレータ(Skodaのサイトでは既にユーザが選んだ車をレイトレーシングして出力するということが既に行われて います)などがありました。興味深いのはストリーミング的な技術が採用されていることでした。VREDは元々単体でウェブサーバとして動作するのですが例 えばクライアントがモデルを操作するとサーバがそれを受けて情報を返します。その際一連の動作を圧縮して流します。(動画のストリーミングとこの辺り一緒 です)。それをクライアント側で表示する、というものです。これ一種のお手軽サーバとしては非常に快適で例えば社内でタブレットを使ってプレゼン、なんて ことも出来ちゃいます。サーバ側のPCとクライアントのiPad。iPadで車を回すとサーバ側で反応してその結果を返す
クラウドに関してはマイクロソフトとの提携が発表されていました。Windows Azure上で動作するようです。VREDの計算をクラウド上で行えるようになります。インスタンスごとに(当たり前ですが)料金設定が行われる本格的な ものです。これはセキュリティの問題もあるので一概にはいえませんが、基本的にユーザの選択肢が増えるのは素晴らしいことだと思います。
iPad/タブレット
上記のストリーミングに関してですがiPadではVREDのVariantsをそのまま読み込んで表示できます。つまりプログラミング等が一切不要 なのですがこれは便利ですね。タブレットが果たしてどれだけ普及するのかは未知数ですが、例えばコンフィギュレータ的な使い道を考える場合、便利で使いや すいプラットフォームとなります。レイトレーシング
レイトレーシング化はますます進みます。ラスタライズがすぐになくなることはないですが(VR的な用途では逆に必要)、上記のウェブ/クラウド化というのはそもそもハードウエアリソースを増やして計算を速くする手段でもあります。デザインレビューでもコンテンツ作成でもある程度のク
オリティを確保したい場合レイトレーシングは必須となります。
そのクオリティをきちんと実現しようとするとプログレッシブフォトンマッピングが必要となります。パストレーシングだけでは機能が足りません。そしてその場合現状ではCPU上での計算となります。GPUタイプのレイトレーシングでは不可能です。
また、レイトレーシングを掛ける掛けないに関係なく大容量のデータを扱う場合、GPUですとメモリーの制約が大きくなります。ビデオカードのメモリー以上 のものは読み込めません。RAMの場合は比較的容量が大きく、増設も容易です。これはプラントなどの大きなデータを表示する場合に有効な手段です。新バー ジョンではRAMに読み込んでレイトレースを掛けないで表示する機能を備えるようです。
オートメーション
VREDの場合大抵は3DCADからのデータを変換して軽量化、マテリアルを配付するという作業が最初に行われます。この部分を自動化してしまおうという仕組みです。具体的にはNXで宛てたマテリアルがそのままVREDに渡る、というものです。これ上に上げた項目の中では一番地味ですが非常に便
利なものです。CAD側のマテリアルとVRED側のマテリアルをDB上で予め紐づけておくという作業が必要になります。
ユーザのワークフローをチャート化したもの
真ん中のVRがビジュアライゼーション領域 |
当然といえば当然なのですがあちらでは上のような方向性で今後(しばらくは)進んでいくようです。3Dビジュアライゼーションは必須のものではな い、と考えられがちなのですが、ドイツに関する限りかなり認知された技術のようです。専門の部署はなくてもやっているという事例もありました。この場合は 解析の部署でした。データの収集や変換という一手間があるのであまり行われなかったり、外部に丸投げという場合が日本では多いのですが、ツールの価格もこ なれて良いトランスレータも出てきたのでもう少しポピュラーになる可能性があると感じました。
ユーザー事例1
ユーザ事例2
ユーザー事例3