2012年10月23日火曜日

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IMPRESS3Dに参加してきました

Pi-VR社が主催するイベントIMPRESS3D 2012が10/11~12にベルリンで行われました。VREDユーザのみならず3Dビジュアライゼーションに関わる多くの人が参加するイベントです。ドイツでのユーザー事例や最新テクノロジーに直接触れられる大変興味深いイベントです。今年で二回目となりますが筆者は昨年から参加しています。面白いのはドイツ人って意外とオープンでして、自動車メーカーの方やその他いろんな人とお話ししたのですが、こちらの質問などもかなり親切に教えてくれます。個別のプログラム内容などは公式サイトに譲るとして僕が感じた全体の内容、印象をお話ししようと思います。あちらのトレンドといってもいいかもしれません。以下、個別に考えてみます。

イベントが行われたMeilenwerk Berlin

ウェブ/クラウド化

思ったより(というよりこちらが遅れているだけか)ずっと進んでいます。用途は様々で遠隔地でのデザインレビュー(VWといたるデザインの事例が紹 介されていました)オンラインコンフィギュレータ(Skodaのサイトでは既にユーザが選んだ車をレイトレーシングして出力するということが既に行われて います)などがありました。興味深いのはストリーミング的な技術が採用されていることでした。VREDは元々単体でウェブサーバとして動作するのですが例 えばクライアントがモデルを操作するとサーバがそれを受けて情報を返します。その際一連の動作を圧縮して流します。(動画のストリーミングとこの辺り一緒 です)。それをクライアント側で表示する、というものです。これ一種のお手軽サーバとしては非常に快適で例えば社内でタブレットを使ってプレゼン、なんて ことも出来ちゃいます。

サーバ側のPCとクライアントのiPad。iPadで車を回すとサーバ側で反応してその結果を返す




クラウドに関してはマイクロソフトとの提携が発表されていました。Windows Azure上で動作するようです。VREDの計算をクラウド上で行えるようになります。インスタンスごとに(当たり前ですが)料金設定が行われる本格的な ものです。これはセキュリティの問題もあるので一概にはいえませんが、基本的にユーザの選択肢が増えるのは素晴らしいことだと思います。

iPad/タブレット

上記のストリーミングに関してですがiPadではVREDのVariantsをそのまま読み込んで表示できます。つまりプログラミング等が一切不要 なのですがこれは便利ですね。タブレットが果たしてどれだけ普及するのかは未知数ですが、例えばコンフィギュレータ的な使い道を考える場合、便利で使いや すいプラットフォームとなります。

レイトレーシング

レイトレーシング化はますます進みます。ラスタライズがすぐになくなることはないですが(VR的な用途では逆に必要)、上記のウェブ/クラウド
化というのはそもそもハードウエアリソースを増やして計算を速くする手段でもあります。デザインレビューでもコンテンツ作成でもある程度のク
オリティを確保したい場合レイトレーシングは必須となります。
そのクオリティをきちんと実現しようとするとプログレッシブフォトンマッピングが必要となります。パストレーシングだけでは機能が足りません。そしてその場合現状ではCPU上での計算となります。GPUタイプのレイトレーシングでは不可能です。
また、レイトレーシングを掛ける掛けないに関係なく大容量のデータを扱う場合、GPUですとメモリーの制約が大きくなります。ビデオカードのメモリー以上 のものは読み込めません。RAMの場合は比較的容量が大きく、増設も容易です。これはプラントなどの大きなデータを表示する場合に有効な手段です。新バー ジョンではRAMに読み込んでレイトレースを掛けないで表示する機能を備えるようです。

オートメーション

VREDの場合大抵は3DCADからのデータを変換して軽量化、マテリアルを配付するという作業が最初に行われます。この部分を自動化してしまおうと
いう仕組みです。具体的にはNXで宛てたマテリアルがそのままVREDに渡る、というものです。これ上に上げた項目の中では一番地味ですが非常に便
利なものです。CAD側のマテリアルとVRED側のマテリアルをDB上で予め紐づけておくという作業が必要になります。

ユーザのワークフローをチャート化したもの

真ん中のVRがビジュアライゼーション領域



当然といえば当然なのですがあちらでは上のような方向性で今後(しばらくは)進んでいくようです。3Dビジュアライゼーションは必須のものではな い、と考えられがちなのですが、ドイツに関する限りかなり認知された技術のようです。専門の部署はなくてもやっているという事例もありました。この場合は 解析の部署でした。データの収集や変換という一手間があるのであまり行われなかったり、外部に丸投げという場合が日本では多いのですが、ツールの価格もこ なれて良いトランスレータも出てきたのでもう少しポピュラーになる可能性があると感じました。

ユーザー事例1


ユーザ事例2


ユーザー事例3









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VREDサイトをオープンしました


宣伝というわけではないのですが、今度弊社ではKeyShotとは異なるレンダリングソフトを扱うことになりました。(正確には一年ほど前からハイエンド製品に限って販売しています)今日はその紹介を致します。VRED(フレッドと読みます)というドイツPI-VR社の製品なのですが、KeyShotと異なるところはハイエンド系の製品まで用意されているところです。その中で今回当ブログで取り上げるのはVRED Essentialsというエントリー製品です。上位製品が持つレイトレースエンジンを切り出して実装したものですが、レンダリングはレイトレースのみという点で、この製品ちょうどKeyShotとマーケットや機能が被ります。そしてKeyShotと同じぐらい素晴らしい製品です。大雑把ですが両者の特徴を優劣をつけて述べると

データプレップ(読込やデータ整理)
  •  サポートするデータフォーマット KeyShotの方が多い。 
  • データ変換精度 VRED Essentialsが優位(上位製品とは異なりますがなかなかいいトランスレータを積んでいます) 
  • データ整理 KeyShotより多くの機能を備えています(データリダクション、データ整理など) 

レンダリング UIや操作のしやすさ      
  • KeyShotのほうが直感的です。但しVREDも今バージョンでだいぶ良くなりました。 
  • レンダリングスピード VREDのほうが高速 
  • マテリアルなど    KeyShotのほうが予め用意されたライブラリは多いです。サブサーフェススキャタリングなどの機能はほぼ一緒。 

詳しい比較はまたいずれやってみたいのですが、KeyShotに比べての優位点は現状
  • レイトレースの計算が速い 
  • カメラ 下記ウインドウ(これはVRED Proのものですが機能は一緒)のようにハイエンド製品と同じ多くのパラメータを備えています。 
  • レンダーパス  これ現状KeyShotには無いものですね。 
  • OpenGLライト  HDRI以外にもライトを置くことが出来ます。 
  • ファイル出力  .mbや.fbxに出力できます。 といったあたりでしょうか。 

VRED Proのカメラ設定画面

逆に劣るところは
  • UIや操作性 日本語インターフェースが無い 
  • デフォルトのマテリアルライブラリの数が(KeyShotに比べると)少ない 

となります。 面白いことに、KeyShotで「これが出来たら良いな」という部分がVREDでは可能だったりします。これは決して偶然というわけではなく、求められる機能が大体似通っているのと各製品には必ず長所、短所があるということに尽きると思います。ソフトというのは一製品だけで完結することはあまりなくて筆者=長谷川的には両方使ってもいいと考えています。KeyShotもVRED Essentialも価格があまり張らないエントリーレベルの製品であります。またVREDはデータ変換/出力の部分が強いので(現状サポートしているCADデータはIGES, STEP, CATIA, NX, Pro/Engineer, SolidEdge, SolidWorks, JTその他)トランスレータ用途としても充分実用に耐えます。(それだけではもったいないですが)。トランスレータに特化したソフト(例えばDeepExplorationなど)よりも良いテセレータやレンダラーを備えています。KeyShotの場合データの読込にやや難がある場合も時に見受けられるのでこういったツールを使って業務を補完するのも良いやり方かもしれません。 価格はノードロック版が¥190,000となります。(アニメーションが標準でついているので価格もちょうどKeyShot+アニメーションモジュールと同等となります。)PC/Mac両プラットフォームで動作します。この辺りはKeyShotと一緒です。またHDR Light Studioのプラグインも(これもKeyShot同様)用意されています。専用サイトはこちらになります。デモ版も用意されていますのでお時間のある時に是非一度試してみてください。(KeyShotとはちょっとデモライセンス申請の方法が異なります)。繰り返しになりますがKeyShot同じぐらい良い製品です。是非皆さんのお仕事に活かして頂きたいと思います。

 VREDオフィシャルサイト

VRED Essentialsでレンダリングした製品
 
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